GAISHIKEI LEADERSのメンバーよる「ワーキングライフ講座」、第9回目となる今回は、AID-DCC 取締役/経営企画担当の武田哲也氏が登壇した。

テーマは、「LTV考察に見るキャリア選択」。LTVとは、Life Time Value(ライフ タイム バリュー)の略で、「顧客生涯価値」と訳される。マーケティング用語として使われる「LTV」を武田氏はキャリアに当てはめ、独自の考えを学生たちに提案する。

武田哲也氏 – 立命館大学政策科学部卒。在学中よりフリーランスでweb業界へ。数社のweb系ベンチャーで活躍した後、2006年より事件後の株式会社ライブドアにて、受託のWEB制作開発およびコンサルティング事業を再構築。ポータルサイトを中心とした広告事業とデータセンター事業をワンストップにつなぐビジネスを担当。2011年よりVOGUE、GQ、WIREDといったハイクォリティかつユニークなNo. 1タイトルを保有する外資系出版社のコンデナスト・ジャパンへ。Technical Directorとして技術領域を統括、webサイトの技術基盤を一新。グループ全社員から数名のみ選ばれるBest Performerに2年連続で選出される。「英語が苦手でも外資系で活躍することはできる」と強がって生きる毎日の中で、各国の消費生活の違いや世界の多様性をまさに体感。同時にグローバルカンパニーにおける日本の国や市場についての認識や位置づけに衝撃をうける。2014年9月より、カンヌ国際広告祭にて5年連続の受賞歴を誇る、大阪発のクリエイティブ・エージェンシーである(株)エイド・ディーシーシーへ。世界を股にかけて活躍するクリエイティブ企業へと同社をさらに成長させるべく、執行役員として経営全般に携わる。2015年8月より取締役/経営企画担当に就任。

 

フリーランスという働き方や言葉が一般化していない時期から、フリーランスとしてキャリアをスタートさせ、現在は大阪発のクリエイティブ・エージェンシーである(株)エイド・ディーシーシーの取締役を務める武田氏。「65歳まで働くと考えると、41歳の私はちょうど折り返し地点にさしかかるところ。計画的なキャリアであったかと問われると苦笑してしまうところもあるが、26歳からマネジメント職を経験できたことは大きかったと思う」と自身の社会人としてのキャリア20年を振り返る武田氏は、その経験から「器用貧乏な私が貧乏から抜け出すまでにはかなりの時間がかかったのでオススメしない」と学生たちにアドバイスを送る。「『これだ!』と胸を張って言える強みを打ち出せる人が、これからの社会、重宝されるだろう」と武田氏。

「私もまだ社会に出て20年。65歳まで働くとしたら、まだ半分残っている。自分の将来価値を、年々進んでいく社会や時代の変化の中で発揮し続けるために、LTVに見立てて考えてみるのはどうか、というのが今回のテーマ。」
武田氏が次に提示したスライドには、武田氏が大学を卒業した時代の危機と希望が示されていた。今みんなの前の危機、希望は何だろうか?と武田氏が問いかける。

「グローバル経済、サイバー戦争、RPA(Robotic Process Automation)、超高齢化社会、東南アジア情勢などが挙げられる。その中でも私は、グローバル経済とRPAが皆さんにとっての最大の危機になると思っている。私たちの時代よりもライバルは世界中に広がっている。皆さんは世界中の人々と競争しつつ、ロボットとも戦わなければならない時代に生きている。さらに高齢者の負担をしていかなければならない。はっきり言ってバブル崩壊後に私が経験した危機より、危機的状況だろう」と武田氏。しかしながら、危機がある中、光もあると武田氏は分析し、学生たちに問いかける。

 

「皆さんの時代の希望、光とは?」

数人の学生たちが、答えを発表する。RPAは脅威でもあるが、希望ではないか。VRやAR、AIといった最新技術が希望ではないか。それぞれが意見を出し合う。この光、希望の中に、これからの時代を生き抜くヒントがあると武田氏は考えている。武田氏が考える私たちが生き抜くヒントは以下の通りだ。

 

(1)作る側に回る

  • エンジニア、アーキテクトになる
  • ヴィジョナリストになる
  • プロデューサーになる

 

(2)動かす側に回る

  • ビジネスプロセスの専門家になる
  • 投資を生業にする
  • 座組 / ルールメイカーになる

 

この(1)と(2)に関わることができるのであれば、グローバル社会やRPAの時代でも生き残っていけると武田氏は分析する。(1)と(2)に関わる仕事として、ファイナンス関連、事業企画や経営企画、ファンドやキャピタル、政治家や官僚などを例示した。

さらに武田氏は、(3)を提示する。その(3)とは、「そもそも生き残るという軸で考えず、競争を諦める」という考え方だ。

 

(3)競争を諦める

  • 代替コストの合わない分野 / 領域の選択
  • ベーシックインカムが来ることを予測し、楽しいことだけして過ごす

 

「勘違いして欲しくないことは、『これが絶対』という訳ではなく、可能性、選択肢として私の考えを聞いてほしいということ。しかし、ある程度未来の予測をし、どのような危機があり、逆に希望があるのかを把握し、キャリアを選択・決断していかなければ生き抜くことが容易ではない時代。常に選択され続ける存在として、自分を育てていってほしい」と武田氏。

 

▲時系列に、何歳の時に社会がどうなり、どのような危機があるのかをある程度予測し、書き出す。LTV、マーケティング用語の意味は、「顧客が、特定の企業やブランドと取り引きを始めてから終わりまでの期間内にどれだけの利益をもたらすのかを算出したもの」だ。皆さんは、リタイアするまでどれほど利益、価値を生み出す人間になれるか?を考える必要がある。(武田氏)

 

最後に、武田氏が学生たちにアドバイスを送る。

「学歴なんかで評価される時代はとっくに終わった。大学に行くこと自体、価値を失っている。皆さんが今生きている20歳前後の時期、何をしたかがとても重要。もっと激しく、厳しい実力社会になっていくが、人間にしかできない仕事もあるので、それをしっかりと見極め、価値や利益を提供できる人間になって欲しい。そして最後に言えることは、講義に来たのに寝てるくらいなら、英語を勉強しておいた方がいい。時間が余ったら、英語。英語を勉強しよう。」

様々な選択肢・可能性を提示して頂いた90分。多くの学生が自分のキャリアについてしっかり考え込み、決断していく必要があると感じたに違いない。

(文・堀内恵悟)

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