【2016専修大学ワーキングライフ講座④】土合朋宏氏 ~綾鷹とスターウォーズがピンチは人を育てると教えてくれた




2016年の専修大学のワーキングライフ講座、第4回目は、20世紀フォックス・ホームエンターテイメント・ジャパン株式会社代表取締役社長の土合氏です。

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専修大学でのGAISHIKEI LEADERSによる連続講義第4回目のゲストは、20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン株式会社 代表取締役社長・土合朋宏氏だ。一流大学を卒業後、CSCインデックス社やコカコーラを経て、現在20世紀フォックスの代表を務める土合氏。「エリート街道を歩いてきたと思われがちだが、実は違う。本当にピンチの連続だった。」土合氏のピンチとは一体どんなものだったのだろうか。「ピンチは人を育てる〜綾鷹とスターウォーズから学んだこと〜」をテーマに、綾鷹を生み出した時に感じた「新しい価値を創造すること」、スターウォーズキャンペーンで試された「海外の人との上手な接し方」、そして「自分自身の仕事を考える」の3部構成からなる貴重な90分間の講義がスタートした。
 
今では「急須でいれたような、にごりの旨み」でお馴染みの「綾鷹」。日本全国でその名は知られている。しかし、綾鷹を創り出した土合氏の苦労は学生たちの私たちからは想像を絶するものだった。「伊藤園のお~いお茶」と「サントリーの伊右衛門茶」、既にこの2強がペットボトルの緑茶業界を寡占している状態で、コカコーラの緑茶を立て直せと命令され、上林春松さんと交渉が上手くいったと思ったら開発中止命令。その後なんとか社長を説得させたが、にごりのあるお茶の製造方法の問題や「綾鷹」という難しい名前に疑問を呈する営業チーム。あの「綾鷹」が誕生するまでの秘話が次々に土合氏の口から飛び出してくる。もし、どこかで土合氏が諦めていたら、今私たちは綾鷹を飲むことができないかもしれない。「諦めないで続けること」、壮絶なエピソードの後に土合氏がおっしゃった一言。諦めない。部活や恋愛、受験など私たちは子供の頃から何度も聞かされ続けられた「諦めない」というこの一言だが、これは新しい価値を創造する時にも同じく大切 なのだ。しかし、土合氏は諦めないという言葉の後にもう一言続けた。「イノベーションとはハイリスクをオブラートに包んだ言葉だ。だから負ける確率がかなり高い。」ここぞという時には、勝負をし、諦めずに最後までやりきることは大切なのだが、ダラダラ「諦めない」という言葉に惑わされて引き際がわからなくなるのは違う。「諦めない勇気」と「諦める勇気」、こういう矛盾があるからこそ、人生は楽しいのだと個人的に感じた。
 
今回のGAISHIKEI LEADERSによる連続講義は外資系で活躍されている方々が講演して下さるので、とても良い刺激になっている。土合氏は、20世紀フォックスに移り、海外の方と交渉する中で、日本人のコミュニケーションについて「日本人のコミュニケーションは洗礼され過ぎている」と分析している。「空気を読む」や「阿吽の呼吸」といった日本人独特のコミュニケーション能力が世界の舞台では通用しない。「よく考えたらソフトバンクのお父さんが犬なのってなんで?ってなるけど、CMだしいいか、逆に聞いたら空気読めよって感じになりそう」、このマインドがあるからせっかく良いアイディアを持っていても英語以前に日本人は世界の場で上手く説明ができない。例えがとてもわかりやすく、頷いた。以前、私は半年ほどアメリカの小学校で働かせて頂いたことがあったが、子供たちがヨーロッパ系、アフリカ系、アジア系、インド系など色々な文化が集まっているため、「クリスマス」1つとっても子供たちの間で面白い議論がされていた。「自分とは同じ人が1人もいない、色々な宗教や文化がある」、これを幼い頃から肌で感じている子供たちはグローバルの場でもやはり強いのだろう。学生でも遅くはないと思うので、お金を貯めて、どんどん海外に行き、多様な文化や宗教、人間に肌で感じることは大切なのではないかと、土合氏の話を聞き改めて感じた。
 
そしてあっという間に時間が過ぎていき、学生に向けて土合氏からの最後の質問。
「あなたは仕事に何を求めていますか?あなたのミッションはなんですか?」、最後の質問に難しい表情を浮かべる学生たち。確かに難しい質問だ。この答えを見つけるために、土合氏が勧める方法は、2つのステージでそれぞれ2つのポイントを意識することだ。まず第1ステージは、「仕事を見つけるステージ」。このステージでは、「①なんとなくでも、将来のイメージを持つ②大事なこと、好きなことをベースに優先順位を決めること」だ。第2ステージは、「仕事を始めてからのステージ」。ここでは、「①一度決めた仕事だから、1万時間(3~5年)は諦めないでやる②ピンチは自分を育てると考える」だ。この4つのことがとても大切だと熱弁する土合氏。そして、最後に土合氏は「これが1番大事だ、師匠を見つけろ!」とメッセージを残した。
 
あっという間の90分間。多くのメッセージを学生に向けて伝えて下さった土合氏。「私はSound of Musicの『全ての山を登り、河を渡り、虹を追いかけて、自分の夢を掴みなさい』という歌詞が好きだ。夢は簡単に掴めない。ピンチが山ほどあるかもしれない。色々なことを経験し、苦しみながらも自分自身の夢を掴んで欲しい。」不安も多いだろうがたった一度きりの人生、楽しむしかない。