【専修大学ワーキングライフ講座②】矢野健一氏




GAISHIKEI LEADERSによる専修大学生田キャンパスでの連続講義の第2回目が、102日に、モルソン・クアーズ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 矢野健一氏 により行われました。

Molson_Yano

今回矢野氏には、かつてご自身がMBAのクラスにて講義をされた内容をベースとして、キャリア形成を考えるにあたっての「思考法」を学生のみなさんに体感して頂くことを目的とした講義をして頂きました。 今回の講義を通して、思考法を身につければ、就職活動では力を発揮する事が出来るようになる、と短期的なゴールを明確にされた上でスタートした講義は、学生のみなさんとのやりとりを交え、様々な実例を交えた矢野氏の軽快なトークで一時間では収まらない程の充実した内容で終了しました。

矢野氏からのキーメッセージは2つ。ビジネスマンとして自分なりの成功を掴む為には、他人と差別化出来る思考力を持つ事が必要不可欠。世の中にあるものは、基本的に全員が努力すれば入手出来るという前提に立つと、情報を得ているかどうかだけで差別化するのは難しい。そこで自分を差別化するには、視点を持つ事、そして自分の価値観を持つ事が大切とお話頂きました。

まず視点を持つ事について。自分なりの視点を持つには、常識を必ず否定する姿勢を持つという発想が大切。これは著名なコンサルタントの方が実践されているもので、常識に囚われないアイディアから思考をスタートさせて、論理を広げていく事で、斬新な発想をする事が出来る。差別化に繋げるには、インサイト、つまり人と同じものを見て違う事を考える事が出来る力が必要になるという事です。

次に価値観について。自分の価値観を理解するには、自分が絶対に手に入れたいもの、守りたいものは何か、から理解する。価値観は絶対的なものではなく、相対的なもの。何かと比べた時に、自分にとって大切な信念を整理して行くと良い。これが自分の中で整理出来ていれば、面接で絶対に失敗しないし、仕事を決める際の判断も間違わない、と力強いアドバイスを頂きました。

そして、自分なりの視点を持つ事、また価値観を持って仕事に取り組む事が、キャリア形成において何故重要かについてもお話頂きました。

矢野さんの定義では、キャリアとは自分の価値観が積み上がったもので、キャリア=仕事ではないとの事でした。そしてキャリアは人生の一部だから、自分がどのように成長したいのかがベースになるため、みなさんがどういう価値観を持つかが重要になる、と続けられました。価値観を持った人がキャリアに取り組む事で、様々な段階で自身の価値観を広げ、雪だるまが雪を纏って大きくなるように、経験を経て価値観を大きくする事が出来る。価値観を持った人が様々な業務を経験する事で、次の価値観、更に次の価値観、と自身の可能性を広げていく事になる。これがキャリア形成であるとのお考えをお話頂きました。更に、矢野さんご自身のご経験を例に具体的にお話頂きました。

1社目のアクセンチュアで最初の業務がプログラミングだった。コンサルタントを夢見て入社したのだからプログラミングはやりたくないと辞めた人もいる中で、矢野さんはプログラミングに取り組んだ事で、プログラミングのスキルだけではなく、ご自身の予想を超えて論理的思考力を実践で身に付ける事が出来て、更にプログラムを開発する過程でクライアントの業務自体を深く体系立てて理解する事が出来る様になった。結果、クライアントの業務について、クライアントの誰よりも深く業務を理解する事が出来るようになったため、クライアントから様々な相談を受ける様になった。つまり、プログラマーとして取り組んだ事で新しい価値観が生まれ、若手の戦略コンサルタントとして活躍する力となった。1つの価値観を身につければ、そこからまた次の段階の価値観に繋がる仕事が出来る様になる。キャリア形成の肝は、肩書きでも会社名でもなく、今の自分の強みが活かせるところ、そして価値観がしっかりある業務を選び、そこからスタートすること、と学生のみなさんにエールを送られました。

また矢野さんの定義する仕事とは、社会に対して自分なりに役割を果たす事、そしてその対価を頂くという事ということで、誰の為に自分はこの仕事をしているのか、何の役に立っているのかを常に意識する事が大切とお話頂きました。この意識の持ち方次第で、働き方、その人が達成出来る成果が変わって来る、という事で、実際に行われたキャンペーンや面接で使われるケーススタディを例に、具体的にお話頂きました。

様々な視点を持てる様にトレーニングをし、自分の価値観を理解した上で、キャリアを形成して行って欲しい、という学生のみなさんへのエールから、質疑応答へ移りました。意欲的な質問が飛び交う中、「入社した会社での業務が自分の強みが活かせないと気付いた時にはどうすべきか」という問いかけには、「本当に自分の強みが活かせないと判断したなら辞めるべき。ただし、辞める前には、会社に色々な強みが必要とされていることをきちんと理解し、本当に自分を活かす場がないのかをよく考える必要がある」とお答え頂き、また「様々なご経験をされた中で、最も大変だったことは?」という問いには、「ベテランの社長の後を継いだ事で、当時42歳の自分の若さや業界での経験の無さがある中で、いかにして顧客や社員からの信頼を得るか、が苦労した」、更に「自身の目指すキャリア形成に家族が反対した時、どうすべきか」という問いには、「まず連れて行って経験させてみる。ダメなら仕方ないが、百聞は一見にしかず。これはビジネスの場でも使う事が出来る」、「若い社長として顧客や社員の信頼を勝ち取るのに苦労された時に意識されたことは」という問いには、「相手を理解している事をきちんと表現する、自分の価値観を理解してもらう、そして成果を出す。この3つに特に気をつけた」、「現職へ転職されたタイミングをどう判断されたのか?」という問いには、「大きく言えば自分の社長になりたいという価値観で決めた。その時に、自分の信念として、正しい事をやりながら社員がその想いに着いて来てくれる組織で社長になりたいと思っていた。本社の影響力が強く自分の信念を貫く事が難しいポジションは全て断った。現職につながる転職を選んだのは、前任の社長がワンマンで、ご自身の考えを貫き、本社の意向通りだけでは動かない、という素晴らしいロールモデルだったことが、決め手となった」、「同じチームで働く仲間をどのように巻き込むか?」という問いには「チームが1つになると言っても、全員が全く同じ方向を向いている事は不可能であるという事をいつも意識する。それを踏まえて、目的をしっかり共有する事で、何かあった時に全員がそこに立ち返る事が出来るようなチームとしての意識形成をする事が必要。そうして成果を出せばチーム全体で共有するで、そこからチーム全体の方向性が揃っていくようになる」など、真摯で熱意ある矢野さんのコメントで締めくくられました。