GAISHIKEI LEADERSのメンバーよる「ワーキングライフ講座」、第3回目となる今回は、Medical Marketing Consultantの田原眞紀氏が登場した。90分間の講義で、田原氏が伝えたかったこと、それはこの2つに集約されるだろう。

(1)エッジのある強みを見つける

(2)執念を持ち、諦めずに頑張り続ける

なぜ、田原氏はこの2つにこだわるのか。自身のキャリアからその大切さを紐解いていく。

 

「私はみんなぐらいの時、キャリアプランなどなかった。漠然と英語は使いたいと考えていた」と話す田原氏のキャリアは、英語を軸に、しかしバラエティに富んだキャリアを歩んでいる。

アメリカの大学を卒業後、ECCの英会話講師としてキャリアをスタートさせるが、本格的に英語を教えたいと思うようになり、教員を目指し佛教大学通信教育課程で勉学に励む。徐々に、英語を教えるだけでは物足りなさを感じ、英語を使ってビジネスがしたいと思い、英語が活かせるリサーチ会社に転職。リサーチ会社では、事業会社からの依頼で消費者アンケートを実施し、データ分析をしていたが、実際にそのデータがどう製品開発に活かされているかに興味を持ち、事業会社であるP&Gへ。その後、マネジメントに興味を持ち、知り合いに誘われボーダフォンへ。約1年後、ソフトバンクに買収され、統括部長として孫正義氏のもとで働く。そして、株式会社ソウ・ツー 執行役員 兼 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 Apple事業部長を経て、現在フリーで、ドクターのマーケティング・プロデュースを行なっている。

「皆さん、ご自身のStrength、Opportunity Areaを把握していますか?アベレージな人よりも、強みが突出していた方が多くの人から必要とされる。『〇〇といえば〇〇さん』と言われるようになるとベスト」と田原氏は語る。

「出る杭は打たれる」、残念ながら日本の教育現場で当たり前のようなになってしまっているこの現象。しかし、今の時代、これでは世界と戦えない。時には友人や先輩に自分自身とはどういう人間なのか、何が強みなのかを聞きながら、誰しもが持っているその強みをさらにブラシュアップしていくことが大切なのだろう。

 

田原氏は続ける。「強みが見つかれば、成功するのか?答えは、NO。どんな人でも成功するためには、『執念』が必要になってくる」。田原氏の言う『執念』とは『諦めずに頑張り続ける強い思い』のこと。「努力は裏切らないし、仲間がいれば何でも乗り越えられる」と田原氏は語る。

執念の塊とも言える孫正義氏のもとで10年近く働いていた田原氏の言葉には言葉では表せないほどの説得力を感じた。

「ソフトバンクを純増No.1に導いた家族割や白戸家のプロジェクト、時にはあのスティーブ・ジョブズと会議をするなど『iPhone 3G』の日本初導入をリーダーとして任されたプロジェクト、ソフトバク社員の行動指針であるソフトバンクバリュー制作のプロジェクト、孫正義氏の代わりにAQUOS Crystalの製品発表を行ったことなど、どのプロジェクトも、志を共にする仲間の存在と、執念がなければ実現することが難しいものばかりだった」と田原氏は振り返る。グリットという言葉が流行っているが、成功者と呼べる人たちほど、どんなに泥臭くてもとことんやり抜いている、その大切さを垣間見ることができた。

しかし、一部学生の中にはこの「執念」に関するエピソードを聞いて、「電通の過労死問題」を連想した人もいるに違いない。事実、昨年の田原氏のワーキングライフ講義ではその問題について学生から質問があった。

確かに難しい問題だ。もちろん会社の対応、周りの仲間の存在や環境作りは言うまでもなく大切なことではあるが、食事や栄養も大切だと語る。田原氏は現在Medical Marketing Consultantとしてドクターのマーケティングを担当する傍ら、食事や栄養の勉学に励み、「ココロの病気の7割に影響している“食事や栄養”を見直せば、うつ状態の改善が期待できる」ということを広める活動に力を入れている。精神科医の奥平智之先生と制作し、講義後に出版された書籍「ココロの不調回復 食べてうつぬけ ~鉄欠乏女子(テケジョ)を救え!~」は、Amazonのストレス・心の病気部門でNo.1を獲得している。

ちょうど出版準備で追われている中で講演をして下さった田原氏。制作に携わり、マーケティングも担当するこの書籍、出版するまでどうなるかわからなかったそうだが、講義中、学生たちの前で「絶対に成功させる。私、諦めないので。」と宣言をし、見事に今回の出版を成功させた。「覚悟を決め、宣言すること」が執念への第一歩だと田原氏は言う。「『できる』と宣言し、あえて後戻りできない環境を作り出す。すると、『できる』方法を考えるしかないので、脳がポジティブに働く」と、孫正義氏から学んだそうだ。そして、執念のもとに「有言実行」で、このプロジェクトを成功に導いた。この出版プロジェクトは田原氏にとって、新しい分野でのチャレンジではあったが、「絶対に成し遂げると思えば、やっぱり成し遂げられる」ということを再確認させてくれたプロジェクトになったそうだ。

 

「執念」の話から、最後は健康論まで様々なアイディアを学生たちに投げて下さった田原氏。この1時間で多くのことを学べた学生は多いだろう。

同時に、感じたままのキャリアを進み、もともと趣味で勉強されていた食事や栄養のことが、現在田原氏の仕事に繋がっている事実も、これからのキャリアを設計する上で大きなヒントになったに違いない。仕事は、どこから生まれるかわからないのだ。

(文・堀内恵悟)

 

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