GAISHIKEI LEADERSのメンバーよる「ワーキングライフ講座」、第5回目となる今回は、ブルーボトルコーヒージャパン合同会社 代表取締役社長の矢野健一氏が登場した。
「社会に出て1番必要だと思うスキルを1つあげろと言われたら、私は『マインドセット』と答える」。ブルーボトルコーヒージャパン合同会社 代表取締役社長の矢野健一氏の今回の講義テーマは、「大きな成功を手にする人が必ず持っている成長のマインドセット」だ。「45歳までに社長になりたい」と決め、accenture、P&G、Levi’s、Molson Coorsを経て、現在ブルーボトルコーヒーで活躍する矢野氏は、なぜマインドセットが大切だという境地に至ったのか、90分間の講義で紐解いていく。
矢野氏は、2種類のマインドセットを学生たちに紹介する。1つは、「Fixed Mindset」、もう1つは「Growth Mindset」だ。Fixed Mindsetをわかりやすく言えば、「〜しなければならない、〜でなければならない」というマインドセット。反対に、Growth Mindsetは「〜ができたらいいな、〜したいな」というマインドセットである。日本人はどちらのマインドセットが強いだろうか?
言うまでもなく日本は、Fixed Mindsetが強い人種である。切腹があった過去の事実、現在の日本の減点方式教育などをみれば、「〜しなければならない、〜でなければならない」という固定概念に縛られてしまう場面は当然多いだろう。
しかし、矢野氏は、必ずしもFixed Mindsetが全てダメと言っているわけではない。日本の電車の時刻表の正確さ、精密機械のクオリティなどは世界トップレベルであり、これはFixed Mindsetがなければ達成できないことだ。「この2つのマインドセットをバランスよく自分の中に持ち続けることが大切だが、これからの時代はさらにGrowth Mindsetが必要になってくると考えている」と矢野氏は続ける。
外的要因を考えた時に、ビジネスの舞台は、確実に世界へ、グローバル化しており、そしてAIが発達し、既に人間のパフォーマンスを超えている事実を知れば、現状の固定概念に縛られ、できない理由ばかりを探して前進しないような人・組織は、生き残れないだろう。これは誰しもが想像できる未来だ。
矢野氏は成長するためにGrowth Mindsetの重要性を唱える。
「成功の方程式として、『Performance = Potential – Interference』という式がある。自分のポテンシャルから、障害を引いたら、パフォーマンスが出るという式だ。しかしこの式をFixed Mindsetで考えるのか、Growth Mindsetで考えるかでは大きな差が出てくる」と矢野氏。
「パフォーマンスを、Fixed Mindsetで捉えると、『確実に結果を出さなければならない』」となり、ポテンシャルは『我々には結果を出せる力があるのだろうか?』、そして障害は『障害は全て認識されているだろうか』ということになる。一方、Growth Mindsetで考えると、『もっと成長したい!』がモチベーションとなり、ポテンシャルや障害をポジティブに考えることができる」と矢野氏は説明する。
もちろん時と場合により、それぞれ必要になる考え方ではある。どちらが良い悪いではないが、AIが人間のパフォーマンスを超える事実を考えると、Growth Mindsetでモノゴトを捉えた方が、悲観的にならず、モチベーションも保て、成長し、生き残れる可能性も高くなるのではないかと学生たちに投げかける。
最後に、Mahatma Gandhiのあの名言を紹介しつつ、矢野氏は自身の経験から、考え方を変えたことだけで救われた多くの事実を学生たちに伝えていく。自らの考え方次第で、運命が決まっていくのだ。他人、周りのせいにせずに、Growth Mindsetを持ち続け、成長し続けることが、これからの社会を生き抜く上で大きなアドバンテージになるのだろう。
(文・堀内恵悟)