2016年の専修大学のワーキングライフ講座、第10回目は、アクア株式会社 事業開発本部&経営企画 本部長 の加藤英太郎氏です

今回も学生によるレポートです。

 

“Hello everyone, my name is Eitaro Kato. It is my honor to be here today…”いきなり英語で進行する授業に目が点になる学生たち。専修大学でのGAISHIKEI LEADERSによる連続講義は、ついに今回が最終回。アクア株式会社 事業開発本部&経営企画 本部長 加藤英太郎氏が最後のゲストだ。目が点になる学生たちの前に”Expect the unexpected”という文字が流れる。「授業が日本語で行われる、日本の大学にいるならばこれは当たり前のことかもしれない。しかし、今回のように英語で講義が進行するケースだって想定できる。当たり前が当たり前じゃない時代。この時代、想定外を想定しなければならない。トランプ氏の大統領就任、イギリスのEU離脱、テロの脅威…。予測できないことだらけ」というインパクトのある演出とメッセージから始まった最終回。今回の講義テーマは、”No Travel, No Career.”加藤氏のメッセージは90分間一貫して「旅に出なさい、旅とキャリアは切っても切れない関係」であった。

 

旅とキャリアは切っても切れない関係とは一体どういう意味だろうか。疑問を持った学生たちに専修大学の偉大な先輩をロールモデルに説明し始める。先日、広島東洋カープを引退した黒田博樹投手(1997年・商学部卒)だ。彼は上宮高から専修大学へ進学し、広島東洋カープに入団。カープ伝統の猛烈な練習を乗り越えエースとなり、ロサンゼルス・ドジャース、ニューヨーク・ヤンキースで大活躍し、再び戻ってきた広島でリーグ優勝を花道に先日引退を決意した。「黒田投手も色々な場所を移動(旅)しながら仕事をし、仕事をしながら移動(旅)をしていた。旅をしている中で様々な人と出会い、仕事の話をし、刺激をうけ、新たな課題を見つけ、また次に進む。このように旅とキャリアは循環しているので、切り離して考えるべきではない」と語る加藤氏。続けて、簡単な質問を学生に投げかける、「過去6ヶ月以内に海外旅行に行った人は?」。

 

手がそれほど挙がらない。そしてパスポートを持っていない学生がかなり目立つ。「躊躇している場合ではない、本当に取り残される前に、まずはパスポートを作るべき」とメッセージを投げかけ、加藤流の旅のステップを説明し始める。「旅には3つのステップがある。1つ目は、”Explore new horizon and get lost.”新しい土地を旅してみよう、そして情報を鵜呑みにするのではなく、直感を研ぎ澄まし、時には異国の地で迷子になろう。次は、”Connect with locals and make new friends.”旅に出たら、日本人だけで行動するのではなく、現地の人や旅人と繋がるべき。日本でのメディアやSNSからの情報だけでは偏っている、世界の今を肌で感じてほしい。最後は、”Develop your human network and make it grow.”旅をしながら築いたネットワークは、SNSのチカラも活用して、近い将来、仕事にも役に立つ可能性が大いにあるからそのネットワークを大切に。」旅について力説し、自身も60カ国以上訪問している加藤氏だが、なぜここまで「旅」の重要性を説くのだろうか。

 

「高校時代から海外旅行をしてきたけれど、未踏の地を強く意識しはじめたのは2011年のあの震災がきっかけ。当時、勤務先があった六本木ヒルズのLenovoの会議室で強烈な揺れを感じたのを今でも覚えている。と同時に、東京でも大地震が起こって、このまま死んでしまうのではないかという考えが頭をよぎった。もし死ぬなら、何を後悔するだろうか。『もっと世界を見るべきだ』という考えに至った。」その後、5年間で初訪問の国の数は30カ国を超え、様々な人々と出会い、そのネットワークを活かし、仕事でも旅でも充実した毎日を送る加藤氏。「旅、そしてそこで目にするものに多くのことを教わる。自分がいかに世界を知らず、日本のことを知らないのかという『反省』。想像を遥かに超える美しい景色や食べたことのない郷土料理との出会いを通しての『感動』。世界の貧富の差や政治腐敗などを目の当たりにしての『絶望』。だけど、一番心に残るのは、どんな場所でも子供達の笑顔が輝いている『希望』。教室や職場とは比較にならないほど、多くのことを学んだ」と語る加藤氏は同時に、旅をすれば、キャリア、仕事へのヒントを山ほど手に入れることができると説く。

 

「財布を持たずにスマホだけで生活が出来る中国の都会、韓国企業の広告が席巻する世界の主要都市、高級志向を強める東南アジアのショッピングモール、これらから見えてくる世界経済の今。また海外で都度必要となる交渉力、多様性への寛容、異文化コミュニケーション、これらはグローバル社会において必須となってくるスキルと資質。」インターネットの時代になったのだから、わざわざ足を運ぶ必要がないといった意見もあるようだが、実際現地に足を運んでみれば5感で様々なことを感じることができ、生活、そしてビジネスのヒントを得ることができる。「旅とキャリアは循環しているので、切り離して考えるべきではない」という加藤氏の主張が学生たちの心に響く。そして加藤氏がある言葉を学生たちに紹介する。「The real voyage of discovery consists not in seeking new landscapes, but in having new eyes. “真の発見の旅とは、新しい景色を探すことではなく、新しい目で見ることなのだ”(Marcel Proust)。」

 

「学生の特権は時間があること、その時間をみんなはどう使う?是非旅をしてほしい」と再度学生たちに訴えかける加藤氏の最近の旅のスタイルは、Facebookを通して行きたい国に友達の友達がいないかどうか探る方法だという。「時代はものすごいスピードで変化している。数十年前は、旅で知り合った友達とは、家の住所と電話番号を交換していたが、二度と会えないと思うことばかりだった。しかし今は簡単にメッセージ1つで繋がれる。みんなは2020年どんな世界になっていると思う?みんなが普段使っているあのアプリの会社は、スマホが2020年になくなる世界を想定し、すでに対策に動いている。スマホがあって当たり前なんていう常識は、数年後に当たり前じゃなくなっている可能性がだってある。みんなは社会に出て戦う準備ができているか?プログラマーの責任者は独特の発音のインド人。上司は英語が話せない中国人。金庫番には几帳面なドイツ人。人事責任者はシンガポール人…こんな世界がリアルに待っている。就職ランキングの高い企業に行けば一生安泰?20年前のランキングトップにあったSHARP、TOSHIBA、NECらは、今どうなっているか。マスコミの情報だけを鵜呑みにしてはいけない。」と次々に加藤氏の口から発せられる言葉に表情がより真剣になる学生たち。そんな未来が待っているのならば今何をするべきなのか、怖い、生き残れるのか、多くの学生たちの頭の中の不安な言葉が聞こえてくる。加藤氏はそんな学生にスティーブ・ジョブズの一つの言葉を送る。”You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backward. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.” 私たちは、先を見通して点と点をつなぐことはできない。過去を振り返ってつなぐことしかできない。だから将来何らかの形で点がつながっていくと信じること。これが大切。」

 

人生の大きな選択が迫る20歳前後の若者に、GAISHIKEI LEADERSの10人の講師が、それぞれの観点から学生たちに生きるヒントを与えた。のべ15時間に及ぶインプットが今後の学生たちにどう影響するのか、その答えを知るのは学生たち自身だ。和魂洋才の若きリーダーがこの受講生から生まれることを期待したい。

 

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