【2016専修大学ワーキングライフ講座⑧】星野アンドリュー氏〜多種多様な人々がいるアメリカの公立学校や米軍将校を育成するROTCで感じた人の気持ちを理解する大切さ




2016年の専修大学のワーキングライフ講座、第8回目は新生ファイナンシャル 執行役員事業開発担当、星野アンドリュー氏です。

今回も学生によるレポートです。

残り3回となったGAISHIKEI LEADERSによる連続講義。「就職活動をする前に考えておいて欲しいこと」という1枚目のスライドが映し出されたと同時に、話し始めた今回のゲストは新生ファイナンシャル 執行役員事業開発担・星野アンドリュー氏だ。「新生ファイナンシャルと聞くより、『レイク』と聞いた方が何をやっている会社かわかると思います」という投げ掛けに頷く学生たち。まだ学生たちにとって接点がほぼない消費者金融。「(学生の疑問)消費者金融からお金を借りる人はギャンブルやパチンコばかりしている?—(星野氏)違います、日々の生活に必要なお金の不足分を補うために利用している方がほとんどです」、「(学生の疑問)延滞すると怖い人たちが家に押しかけてくる?法外な利息や手数料を取られる?—(星野氏)訪問は一切していません。電話も1日3回までと決まっていて、法外な利息や手数料を要求することはありません。私たちの事業は厳格な業法や、自主規制に則って運営をしているのです。」….. 消費者金融のどこか怖い印象がただの印象だけであるという事実を、まず事細かに説明してくれた星野氏が一言、「私は怪しい者ではないので、今日は1時間よろしくお願い致します」。

 

「今日は就活前にみんなに知っておいて欲しいことを話したいと思います」と言い切り、まず自身のキャリアの説明をする星野氏。実は、新生ファイナンシャルはもともとGEの傘下であったため外資系だったが、今は日本の企業。「だから僕は”元”GAISHIKEI LEADERSです」と話す星野氏だが、その異色の経歴に学生たちが釘付けになる。

アメリカで生まれた星野氏だが、高校までの人生をほぼ神奈川県の鎌倉市で過ごし、高校の途中でアメリカへ。アメリカの高校を卒業後、コミュニティーカレッジ、4年制大学を卒業。帰国後クレディセゾンで10年勤務し、GEコンシューマーファイナンス(現・新生ファイナンシャル)に転職し、今に至る。学生時代には、ROTC(Reserve Officers’ Training Corps)という米軍の将校を目指す若者のための予備役訓練課程に入り、トランプ次期大統領のような排他的な発言をもする極めて保守的なアメリカ人とも寝職を共にしたという。

「なぜ僕がROTCに入ったのか、なぜ公立の学校に入ったのか?」、この決断には星野氏なりの考えがあり、その考えは「通訳がロボットに仕事を奪われない」という主張にも関係している。「ROTCでは価値観が合わない人がかなり多い。また公立の学校も天才からドロップアウト寸前まで多種多様な人がいる。様々な人と交流するなかで、彼らが何を考え、どうしてそのような言動を取るのかが理解出来るようになってくる。その結果、彼らとどのように付き合っていけば良いか徐々にわかるようになってきた」と星野氏は語る。人間にはロボットがまだできない「人の気持ちを理解する」という能力がある。この能力がある以上、通訳はロボットに仕事を奪われることはない。「これから社会に出れば、本当に色々な人に出会うと思う。その中で人の気持ちを理解する、これはとても重要」という主張を、NTTドコモを例にして説明する。NTTドコモは国内でiモードを成功させたが、海外では惨敗。「いくら良いテクノロジーを持っていたって、現地の人の気持ちがわからなければ意味がない」という星野氏の言葉に、「人の気持ちを理解する」ということの大切さを改めて理解させられる。

続けて、「世界が今後どうなっていくのかみんなで考えたいと思います」と話し始めると、様々なデータを出して分析し始める星野氏。近年、「年金はもらえないかもしれない」、「仕事がロボットに取られるかもしれない」、「人材の国境がなくなり、ライバルが世界になる」など今まで以上の「不確実さ」に対し、暗くなる学生は少なくない。だからこそ、「自分で一歩前に出て行こう」と強く主張する星野氏。「Control your own destiny or someone else will」、かつてジャック・ウェルチが言い放った名言、自らの運命をコントロールせよ、さもなければ他人にコントロールされるだろう。「でもどうやって一歩前に行くのかわからないというのが多くの学生の本音だと思う。だから僕は『自分のポジションを作って行こう』と言いたい」と星野氏が学生たちにメッセージを投げかける。星野氏の両親は日本人なのだが、星野氏は幼少期アイデンティティクライシスを体験したという。「日本にいた頃はアンドリューという名前から『外人』と言われ、アメリカに渡ってからもその容姿から『外人』と言われた。僕は何人なんだ?」と自身の経験を話しつつ、「この考え方は間違っていた」と分析されている。考え方を変えると、日本とアメリカの重なっている部分に自分がいるという事実、そして自身のポジションに気付いたという。「オンリーワンがいいのか、ナンバーワンがいいのかよく議論になるが、これはちょっと違うと思っている。大切なのは、一定の領域を極めなくても、領域の組み合わせによって自分のユニークなポジション(=強み)を作れることだ」と星野氏が声のボリュームを上げ、学生たちに伝える。

個人も企業も、世界が相手になるこの時代。組み合わせによって自分のポジションを作り強みを磨くこと、そして人の気持ちを理解すること、この2つの主張が我々学生たちの情熱を刺激したということは言うまでもない。