2016年の専修大学のワーキングライフ講座、第7回目はカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 CCCデザインカンパニー 蔦屋書店事業本部 Apple事業部長  兼  株式会社ソウ・ツー 執行役員 経営戦略部長の田原眞紀氏です。

今回も学生によるレポートです。

2016年も残すところ2ヶ月となり、GAISHIKEI LEADERSによる連続講義も今回を含め残り4回。「既にキャリアプランが決まっている人はいますか?」開口一番明るい声が教室を包む。カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 CCCデザインカンパニー 蔦屋書店事業本部 Apple事業部長であり、株式会社ソウ・ツー 執行役員 経営戦略部長の田原眞紀氏は質問を続けながらも、学生目線に立って語り始める。「目標設定ってとても大切だけど、私も何も決まってなかった。明確な目標はなく、感じたままの道を歩んできた」、この言葉に学生たちが引き込まれる。」

関西外国語短期大学を卒業後、ワシントン州立大学で経営学を専攻。日本へ帰国し、ECCの英会話講師としてキャリアをスタートさせる傍ら、教員を目指し佛教大学通信教育課程で勉学に励む。しかし、英語を教えるだけでは物足りない、英語でビジネスをしたいと思うようになり、リサーチ会社に転職。リサーチ会社で得たデータが実際の商品開発の場でどのように役立つのかに興味を持ち、P&Gに入社。P&Gで7年キャリアを積みながら、徐々にマネジメントに関心を持ち始め、ボーダフォンへ課長職で転職。しかし、その1年半後ソフトバンクに買収され、統括部長として孫正義のもとで、9年働く。そして1年半前から現職に携わる。

「この経歴を見てわかったと思うけど、具体的なキャリアプランはなく、感じた道を歩んできた」と語る田原氏。しかし、「キャリアプランは必要ない」というのが田原氏の主張ではない。あった方が成功する可能性は高まるが、なくても自分次第で何とかなるという。21世紀は自分自身の強みを理解した上で、その強みを活かしたスペシャリストが重宝される時代。「確かにキャリアプランは、はっきりしていなかったけど、私の強みは『戦略的思考』と『執念』ということは理解していた」と田原氏が言葉を続ける。学生時代に最低でも「自分の強み」を把握すべきだと学生たちに訴えたと同時に、執念、すなわち、何があっても諦めずに努力し続けてやり切る力は、成功するためには絶対に必要だと主張した。
「根性論に聞こえると思うけど、これは本当」と田原氏の表情が一瞬よりシリアスになる。

「不可能なことはほとんどない」、「脳がちぎれるまで考えろ」、「できない、難しいって言うな」。これらは田原氏が孫正義氏のもとで働いていた時に何度も聞かされた言葉だという。「あの方は本当にすごい」とリスペクトする傍ら、料金サービスや、ソフトバンクバリュー検討の際に、孫氏と対決した壮絶なエピソードを次々に学生たちに暴露。P&Gで学んだ“Do the right things for the company (会社にとって正しいことをする)”の精神で、自分が絶対に正しいと思ったら、何度否定されても主張し続けたという。

学生たちがその勢いに息を呑む。料金サービスの検討では、半年間、執念を燃やし、家族メリットの必要性を伝え続けた結果、ホワイト家族24が導入され、孫正義氏から会議中に「白戸家の生みの親は田原だ」と言われたという。その後も「iPhone 3G」のProject Leaderを務め、2008年7月11日にiPhoneのローンチを成功させ、スティーブ・ジョブズ氏と孫正義氏との会議にも同席し、当時iPhoneにはなかった絵文字の必要性を訴えるなど、執念を燃やして数々の実績を作ってきた田原氏。「その執念が革新を産む!- 孫正義」という個人宛に送られた名言は、「強い思いは必ず叶う。そう信じて諦めない。」という田原氏の信念の土台となっている。

学生の頃に描いたキャリアプランがそのまま実行できる人はほんの一握りではないかと個人的に感じている。それは、時代の変化が激しく、不確実な世の中だからだ。だからこそ、田原氏が訴える「自分の強みを把握すること」は、学生時代に最低限しておく必要があるだろう。最後に、田原氏が2つのメッセージを学生たちに伝える。それは、(1)努力は裏切らない(2)仲間がいれば何でも乗り超えられるというものだ。この1時間で何度も繰り返された「執念」というワードの回数が田原氏のバイタリティを表しているように感じた。

最後にある学生から質問が出てきた。それは先日の電通社員の過労死問題。「執念を燃やしてやり切ることを意識しすぎると、あのような問題がまた出てくるのでは?」と。「確かに難しい問題。過重労働となる場合は、何か変化がないかを上司や周りが注意しておくこと、定期的に産業医のカウンセリングを受けることが必須」と田原氏。

私個人が知っている成功者には、執念を燃やし朝まで働いている方々が多いが、この過労死問題をGAISHIKEI LEADERSの方々はどのように考えていらっしゃるのか興味が出てきた。命を落とすことを肯定しているわけではもちろんないが、成功を手にしたいのであれば、人以上に執念を燃やし、愚直にやり続けることがリスクの少ない20代の特権ではないだろうかと個人的に感じている。「執念」というひと言から様々なことを考えさせられる1時間となった。

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