後半戦に入った2016年の専修大学のワーキングライフ講座、第6回目はエクスペリアンジャパンCFOの郡家孝之氏です。

今回も学生によるレポートです。

 

「今日の講演はCFOの仕事についてではありません、キャリアについて話します」。第6回目のゲスト、エクスペリアンジャパン株式会社CFOの郡家孝之氏の第一声。専修大学でのGAISHIKEI LEADERSによる連続講義はいよいよ今日から後半戦だ。

「私は今の時代、キャリアをデザインすることは難しいと思う」、キャリアデザインというワードが流行り、専修大学でも「キャリアデザインセンター」といった学生のキャリア設計をサポートする施設が存在する中、郡家氏の主張はあくまで「難しい」だ。私たちが生きるこの時代は「VUCA(Volatility Uncertainty Complexity Ambiguity)」、つまり変化が早く、不確実であり、複雑で曖昧な世界。レジ、経理、ホテルの受付、ドライバー・・・いくつもの職業が近い将来なくなり、まだ名もない職業が誕生する。こんな時代、我々学生たちは何を意識し、生き抜いていけば良いのか。学生たちは、郡家氏のキャリアマップを一緒に分析していると何度も繰り返されるキーワードに気が付く。それは、「チャレンジすること」だ。

アメリカ留学後、普通のサラリーマンになることが嫌で、大学院に通っていた郡家氏。しかし、学費を稼がなければならず、IBMでアルバイトをしていた。この経験が「普通のサラリーマンが嫌」という自分自身の価値観を変えたと郡家氏は振り返る。その後、ファイナンスの仕事を任された時も大学時代のアカウンティングの授業の経験から「会計、超苦手だ!!」という意識を持っていたのだが、その先入観を捨てチャレンジをしてみたら、ファイナンスの楽しさに目覚め、現在のCFOという地位まで上り詰めている。人間誰しも周りの情報に左右され、先入観や思い込みを持っている。そのため、人間は先入観や思い込みを避けようと思ってもなかなか難しい。だがしかしそれはあくまで思い込み。真実ではないかも知れない。「とりあえず、やってみよう。楽しいかもしれないし、本当につまらないかもしれない。つまらなかったら辞めればいいじゃん」、郡家氏が言葉を続ける。食わず嫌いでは、チャンスを逃してしまうのだ。

就活前の一般的な大学生が周りの情報に左右され持っている先入観や思い込みは、「少しでも大きな会社、名の知れた会社に就職しないといけない」だろう。「いい大学に行き、大企業に入れば、いい人生が送れる」といった終身雇用の時代の価値観を子供の頃から何度も言い聞かされている学生ならば、その思い込みは相当なものになっている。しかし、今の時代はVUCA。その先入観や思い込みは、どう考えても時代遅れだ。論理的でない主張に惑わされ、変に先入観や思い込みを持っていてはチャンスを逃してしまう。失敗を恐れず、チャレンジする、これはVUCAの時代を生き残る1つのヒントになるだろう。

スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授による「計画された偶発性理論」はとても有名だが、運をつかめる人は、間違いなく一歩を踏み出し、チャレンジをしている人だ。一言のメッセージ、1つの行動、その一歩が運を引き寄せている。「チャレンジする人は、curiosity(好奇心)、persistence(失敗してもチャレンジを続ける持続性)、flexibility(柔軟性)、optimism(楽観主義)、risk-taking(冒険性)がある人ばかりだ」、郡家氏が言葉を続ける。与えられた問題を決められた時間内で効率良く解くことに重きを置く偏差値教育の下ではなかなか育ちにくそうなマインドだが、VUCAの時代はこれがなければ生き残っていくことは難しいのではないだろうか。

「チャレンジしなさい」と言われると、とても敷居の高いような行為に思えるが、自分の興味がある本をまず10冊読んでみる、興味があることに関係するイベントに足を運んでみる、ブログを書いてみる。これらも大きなチャレンジへの第一歩だ。遊ぶことも大切だが、失敗が大いに許される学生という肩書きが使える時間にチャレンジしてみることにデメリットはないだろう。郡家氏の90分間の講義で何度も繰り返された「チャレンジ」。チャレンジこそがVUCAを生き残る大きなヒントだ。「学生の皆さん、チャレンジしてください」、郡家氏の最後の一言も「チャレンジ」であった。

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