【2016専修大学ワーキングライフ講座⑤】池側千絵氏〜企業価値を高めるということは経営者だけが考えればいい問題ではない




あっという間に中盤を迎えた2016年の専修大学のワーキングライフ講座、第5回目はケロッグCFOの池側千絵氏です。

今回も学生によるレポートです。

GAISHIKEI LEADERSによる連続講義は今回で5回目を迎え、折り返し地点に差し掛かった。第5回目のゲストは、日本ケロッグ合同会社執行役員 池側千絵氏だ。新卒でP&Gに入社し、事業部の利益管理や財務分析を担当。その後マクドナルドのフランチャイズ部門で勤務した後、レノボ・ジャパンのCFOへ。そして、現在ケロッグのCFOを務める池側氏が今回の授業で掲げたテーマは、「企業価値と自分の価値を両方高める仕事のしかた〜外資系ファイナンスの仕事〜」だ。最近流行っている「企業価値を高める」とは具体的にどういうものなのか、また一個人がどのように関われば企業価値を高め、さらに自分自身の価値を高めることができるのか、池側氏の実体験に基づいた貴重な講義がスタートした

「日本企業はROEが低い」、いきなり今までの4人とは違う切り口で話し始める池側氏。ROE (Return on Equity)20%以上が優良と言われるなか、日本企業の平均は8%にとどまっている。一方、アメリカでは20%以上の企業が多く存在している。「日本企業の稼ぐ力は低い」、この言葉はグローバルの場で合言葉のように連呼される。「企業価値を高めるとは、具体的にこのROEを高めること、特に営業利益率を高めることがキーになる」、池側氏が数々の日本企業や外資系企業の具体的な数値をもとに熱心にROEの現状を学生たちに伝えていく。普段聴くことができないようなリアルな数字に興味を示す学生たち。では、どうすれば日本企業はROE、稼ぐ力を強化することができるのだろうか

池側氏は、日本と海外の企業の組織に注目している。日本では、経営・企画戦略部門と経理・財務部門はそれぞれ独立して存在している。しかし、外資系ではその両者を兼ね備えた「ファイナンス部門」が存在する。つまり、経営と数字の両方を理解している人が担当するため、数字に基づいた戦略・アイディアが出やすいという

また、当然企業価値を高めるにはキャッシュフローを増やす必要がある。つまり、売り上げを増やし、コストを削減するということだ。池側氏はわかりやすくラーメン屋を例に説明する。ラーメン屋の入ってくるお金は、お客さんが払うお金。ラーメン屋の出て行くお金は、食材や家賃、広告、光熱費など。では、どうすれば入ってくるお金を増やすことができるのだろうか。客数を増やす、1人あたりの注文数を増やす、客単価を上げるなどのアイディアが浮かんできたら、これをベースにマーケティングや販売戦略を考える。出て行くお金をどうすれば減らせるのか。良い食材を安く仕入れたり、券売機を導入して従業員を減らしたり、光熱費を節約する。「聞いていればとても単純なことだけれども、大企業もこれと同じことをしている」、とてもわかりやすい例に頷く学生たち。キャッシュフローが増えると、株価が上がり、企業価値も上がる。逆に減ってしまえば、株価が下がり、会社が買われるか、倒産してしまう可能性がある。「だからこそ、皆さんもどこかの会社で働く以上、『企業価値を高める』ということを念頭に置かなければならない。経営者の人だけが考えればいい問題ではない」と熱いメッセージを学生たちに残した

企業価値を高めることを意識していれば、自然と自分自身の価値も高まっていくと語る池側氏。「皆さんがどのポジションにいようと、企業価値を高める行動を取ることができれば、自分自身の価値がアップする」、つまり会社のためと想って行動していることが、最終的に自分自身のためにもなっているのだ。すると色々な会社があなたを必要としてくれる。数々の名だたる企業のファイナンスを担当し、様々な企業から必要とされている池側氏の姿は、人生を心底から楽しんでいるように感じた。毎晩会社の悪口を居酒屋で言って40年近く過ごすのか、会社の価値を高めようと尽力しどこでも働ける人材になるのか。一度きりの人生、後悔がないよう過ごしたいものだ