【2016専修大学ワーキングライフ講座②】松永 エリック・匡史氏 ~グローバルな社会では通用しない「曖昧」という言葉




2016年の専修大学のワーキングライフ講座、第2回目はPwCのエリック松永氏です。

今回も学生によるレポートです。

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先週より始まったGAISHIKEI LEADERSによる連続講義。第1回目は、日本マクドナルド株式会社 上級執行役員 マーケティング本部長足立光氏が登壇し、「なぜグローバルキャリアなのか?-外資と日本企業の違い-」をテーマに熱いメッセージを学生たちに届けた。そして第2回目は、PwCコンサルティング 執行役 松永 エリック・匡史氏が「Design Centric Global Experience」をテーマに90分間講義を行った。「普通は、講演を始める時プロフィールから説明すると思いますが、僕は最後にします」、一瞬にして学生たちが松永流のプレゼンテーションに聞き入った。

松永氏がまず学生に向けて発信したメッセージは、「学ぶ」ということだ。今回のGAISHIKEI LEADERSによって行われる計10回の講演は、我々学生のみならず社会人の方ですら普段会えるような方々ではない。学生からしたら当然「とてもすごい人」となってしまい、多くが「この方は私とは違う、私には無理」と考えてしまうのだ。このような考え方を松永氏は否定し、先輩から「学ぶ」という体勢で臨むべきだと学生たちに檄を飛ばした。その「学ぶ」という行為は、4つのステップからなると松永氏は語る。第一に、Hearing。聴くということだ。どんな人にもまずはリスペクトする心を持ち、聴く。次に、Analyzing、Planning、最後にActionへと続ける、このステップこそが「学ぶ」である。松永氏のメッセージは、「とてもすごい人たち」と端から聞く耳を持たなかった学生たちの心に火をつけたに違いない。そして、この4ステップこそが人生をより良い方向に進める大切な姿勢であるということを松永氏の実体験に基づき、我々は90分間で実感することになる。

「グローバルキャリアとジャパニーズキャリアの違いとは?」松永氏が心にスッと入ってくるような落ち着いた声で学生たちに投げかけた。我々日本のキャリアは、偏差値至上主義という言葉があるように、幼少期から「良い」学校を目指せと言われ、高校の時は先生や親に勧められとりあえず「良い」大学を目指し、「良い」企業へ就職すれば、「良い」人生が送れる。これらは言うまでもなく多くの大学生が両親や親戚、教師たちに言われてきた言葉だ。しかし、この「良い」に定義はあるのだろうか、と松永氏が疑問を投げかけた。日本の「良い」は、安定ということであるが、これだけグローバル化した社会で、「安定」という言葉は存在するのだろうか。大企業に就職すれば一生 安泰と言われた時代ではなく、四大証券会社のひとつであった山一證券はとうの昔に廃業し、日本のお家芸とまで言われた家電は敗北を喫し、ついにシャープは鴻海精密工業に買収された。金輪際、「良い」という定義が曖昧な言葉を使うことはやめましょうと松永氏のメッセージに希望を持ったような顔をする学生より、グローバル化をどのように切り抜け、生きていくのか不安な表情を浮かべる学生が目立った。何より多くの学生が心配していることは、「英語」だ。

しかし、松永氏は英語よりも、多様性への理解力、チームワーク力、謙虚さ、そして説明責任(Accountability)を持つことの大切さを説いた。日本人には「説明責任」が欠けていると強く訴える松永氏。よく考えてみれば、普段ニュースで目にする謝罪会見というものは、問題の説明をするというより、謝って終わってしまうことが多い。今回の築地市場移転問題もそうだ。結局曖昧な形にして、誰も責任を取ろうとしない。普段から自分の考えを持ち、しっかり責任を持つという当たり前の行為が特に日本人には必要なのだろう。松永氏が最後に語ったグローバル化を生き抜く3つのポイントは、Accountability、宗教や歴史をしっかり把握しておくIntelligence、そしてEnglishだ。

これからは、「時間」から「パフォーマンス」の時代になり、無駄だと思っていたことはどんどんロボットがやってくれる。だからこそ、自分自身にしかできない価値を見出すことがグローバル化した世の中でも光り輝き続けられるポイントになのだろう。貴重な90分間の講演でグローバル化のシビアな現実を知りながらも松永氏の勇気が出るようなメッセージに目から鱗が落ちた学生たち。そんな学生たちは最後のエリック松永氏のプロフィールを知り、目を丸くするのであった。